【陶芸家・大塩まな】伝統と向き合う中で生まれる独自の感性とモノづくり

【陶芸家・大塩まな】伝統と向き合う中で生まれる独自の感性とモノづくり

 

ーーまず、赤膚焼について教えてください。

赤膚焼は奈良の伝統工芸で、主に郡山や奈良のあたりで生まれた焼き物です。

元々、この辺りの地域は焼き物で盛んな地域だったんですよ。

始まりは、豊臣秀長によるものだと言われています。秀吉の弟で、郡山城の城主だった方ですね。

というのも、当時の武将って、お茶で自分の権力や格式を示す時代だったんですよ。だから「御用窯が欲しい」と考える武将が多かった。

そこで彼らは郡山で粘土を探したんですが、なかなか良い土が見つからなくて。

そんな矢先、少し足を伸ばした赤膚山(昔は五条山と呼ばれていたそう)で、良質な粘土が見つかった。

そこに御用窯を築いたのが、赤膚焼の始まりだと伝えられています。

なので、赤膚焼はもともと茶道具づくりから始まった焼き物なんです。

ーー陶芸を始めたきかっけは何だったのですか?

本格的に始めたのは大学生になってからですね。

高校生の時は美術科だったんですけど、その当時は陶芸はやっていなくて。

父が陶芸家なので、先生から「大塩さんはいつでもできるから、他のことをやってみたら?」って言われて。

その後、大学に進学した時に「せっかくだし、ちょっとやってみようかな」くらいの軽い気持ちで始めてみたら、思いのほか楽しくて。

それがきっかけですね。

気づいたら、どんどんのめり込んでいました。

ーーそんななか、赤膚焼への理解はどのように深まっていったのですか?

奈良市の伝統工芸後継者育成研修を受けたり、周りの先生方や同期と話すなかでですね。

同期に赤膚焼を作っていた子もいたので、いろんな話を聞いたり、コミュニケーションを取るうちに、少しずつ輪郭が見えてきた感覚があって。

最初から「これが赤膚焼だ」と分かったわけじゃなくて、だんだん解像度が上がっていった、という感じです。

ーーなるほど。大塩さんにとって、赤膚焼の魅力や特徴はどんなところにあると思いますか?

やっぱり粘土の色ですね。

赤みを帯びた、肌色のようなやわらかい色。そこから「赤膚焼」という名前がついたとも言われています。

赤すぎず、白すぎず。その中間の絶妙な色味が本当に好きで。

なので自分にとっては、粘土で困ることがないというか、いつも仲良くさせてもらってる感覚です(笑)

ーー作品の制作中はどんなことを考えていますか?

実は、あまり考えていないんですよ。

特にオブジェを作るときは、かなり感覚的に取り組んでいます。

この感覚、スポーツ選手が競技中に頭で考えて動かないのと似ているな〜と思うんです。

練習の時には考えながら練習したり、コーチに指導してもらったり、データを取って考えるけど、本番は体が勝手に動く、みたいな。

私にとっての制作もそれに近いですね。

普段からいろんなものを見て、感じて、インプットしておいて、作るときは一気に入り込む。

作るときに「こうしよう」と考え始めるのは、すでに遅い気がするんです。

だから日頃から好きなものや知らないものに触れて、感性を磨くことが大切だと思っています。

ーー素敵な心構えです。作品作りで大切にしていることはありますか?

「自分のベストを尽くすこと」です。

自分が納得できないものは、世に出せない。

例えば注文品の場合は、お客さんの要望に忠実に応えることがベストだと思っています。

そこに自分勝手な表現を入れるのは違う。

その時々の自分の100%を出す。それだけですね。

ーー今はオブジェと器、両方制作されていますよね。そのスタイルはどこから?

大学で取り組んでいたカリキュラムの影響が大きいですね。ろくろも、手びねりも、オブジェも、全部やらせてもらえたので。

どれも楽しかったんですよ。

あとは、父の影響も大きいです。

父は曽祖父と祖父から赤膚焼の伝統的な技術を教わりつつ、一方で現代工芸的な立体造形もやっていたので、最初から両方の作品を手がける人だったんです。

なので私に対しても「職人としての優れた技術をしっかりと磨きながら、自分の表現もやったらええよ。」と。

そう言われて育ったので、両方やるのは自然な選択でした。

ーーお父様が背中を押してくださったのも大きいのですね。最後に、ご自身の作品制作における表現について、どのように考えていますか?

私は、決められた形のものを大量に作るよりも、常に自分がいいと思えるものを作りたいと考えています。

日頃から好きなものに触れて、表現したいという気持ちは大きいと思うので、自分らしいモノづくりがしたいです。

うまくいかないこともたくさんありますが、自分の内側にあるものをうまく表現して、作り続けていきたい。

そう思いながら、日々モノづくりをさせていただいています。

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