【陶芸家・西岡英里奈】日常の中に“無意識の意識”を生む。彩り豊かで個性溢れる作品を手がける陶芸作家のモノづくりの哲学

【陶芸家・西岡英里奈】日常の中に“無意識の意識”を生む。彩り豊かで個性溢れる作品を手がける陶芸作家のモノづくりの哲学

– 陶芸を始めたきっかけを教えてください。

元々、専門学校のデザイン学科に3年間通っていて、その頃は平面デザインを中心に学んでいました。

それはそれで楽しかったんですが、次第に立体表現に興味を持つようになったんです。

平面のデザインって、基本的には自分から見た正面の表現が中心になりますよね。でも立体だと、裏側だったり横だったり、上から下からと、360度いろいろな角度から表現できる。その自由さが面白いなと思ったんです。

ちょうどその頃、選択授業の中で陶芸を取ることができたので、それが陶芸を始めるきっかけになりました。

実は父が大工なこともあって、小学生くらいの頃は大工になりたいと思っていたんです。
そこから少しずつ、自分で作りたいものを作って表現したいという気持ちが膨らんでいって、ものづくりそのものに興味を持つようになった、という感じですね。

–そんな中で、これまでに大きく影響を受けた作家はいますか?

弟子入りをさせていただいた陶芸家の馬川祐輔さんですね。初めて作品を見た時、その独創的な表現にすごく驚いたんです。

「どこからこんなエネルギーが出てくるんだろう」と思って、とても興味を持ちました。

最初の頃は彼の作品を購入して使わせてもらうというお客さんの立場でした。でも使いながら、「どういう気持ちでこの作品を作っているんだろう」という好奇心がどんどん膨らんでいったんです。

作家さんご本人は、すごく自然体で穏やかな雰囲気の方なんです。でも作品は、とても強いエネルギーを感じる。そのギャップが面白くて。

「この人はどういう考えで作品を作っているんだろう」と思って、思い切って弟子入りをお願いしました。

–作品づくりをする上で、大切にしている感覚はありますか?

自分の中に、発散しきれないエネルギーみたいなものがあるんです。

作品を作っている時は、そのエネルギーを外に出しているような感覚がありますし、出来上がった作品を見ると、逆にそこから自分のモチベーションをもらう感じもあるんですよね。

アウトプットしながら、同時に自分の作品からインプットも受けているような感覚です。

エネルギーを出して、また自分で吸収して…という循環があるから、日常生活もバランスよく過ごせているのかなと思います。自分の中では、そんな感覚なんです。

–ご自身の個性についてはどう捉えていますか?

専門学校に通っていた頃、全身真っ赤な服で登校していた時期がありました。

自分の中ではそれが普通だったんですけど、ある日電車の中で小さい子が私を指差していて、その親御さんが「やめなさい」って言っているのを見たんです。

その時に「あ、私って変なんだ」って思いました笑。もちろん、自分でも多少は分かっていたんですけどね。

でも私にとって「変」という言葉は悪い意味ではなくて、むしろ褒め言葉のような感覚なんです。

私はもともと、すごく普通の人間なんですよ。だからこそ、服装だったり持ち物だったり、そういうところから個性を出したいという気持ちがあるんだと思います。

変な人に憧れる、普通の人という感じですね。

–作品づくりはどのような発想から始まりますか?

自分は、形から作っていくタイプですね。

日常生活の中で「これ欲しいな」と思えるものが、意外と少ないと感じていて。だったら自分で作ればいい、という感覚なんです。

もちろん、自分の作品が万人に受け入れられるデザインではないというのは分かっています。

でも、売るために作るというよりは、自分の気持ちを発散するために作って、それを気に入ってくれる人がいたら嬉しい、というスタンスですね。

–作品のこだわりについて教えてください。

私の作品はオブジェとして見ることもできますし、実際に日常で使うこともできるのが特徴です。

底の部分を立体にしていたり、凹凸を作ってカップに陰影が生まれるようにしたりなど、パッと見では気づかないような部分にこだわって作品を作るのが好きなんです。

例えば、もし飲み口の近くにボコッと膨らんだ部分があったら、少し位置をずらして持ちますよね。でも普通のデザインだと、何も考えずにそのまま持って飲むと思うんです。

でも私のカップだと、「ちょっと動かしてみる」という行動が自然と生まれる。普段だったら考えないような動きや思考が出てくるのが、自分としては面白いんです。

無意識だけど、少し意識している。

そういう瞬間が日常の中に生まれる器って面白いなと思っていて、そういう感覚を大事にしながら制作しています。

でも実は、陶芸にこだわっているわけではないんです。

もちろん、この先も陶芸を続けている可能性は高いと思いますが、もし陶芸以外の素材で自分を表現できるものがあれば、それを使って作品を作っているかもしれません。

また同じ陶芸でも、今のような生活に馴染む器ではなく、オブジェに振り切った作品を作っている可能性もあります。

自分の中にある表現のエネルギーが消えることは、生きている限りないと思っています。なので、陶芸でなかったとしても、何かしら形にして作り続けているんだろうなと思います。

–西岡さんの今後の目標について教えてください。

実は、年内にスウェーデンのギャラリーでの個展が決まっているんです。偶然の出会いから生まれたありがたいご縁のおかげで、海外での活動もできるようになってきました。

これからは日本だけでなく、海外でも作品を見ていただける機会を増やしていきたいですね。

あとは、もっと手の込んだものも作っていきたいです。

より多くの人に作品を手に取ってもらえるように、もっと面白いと思える独創的な作品にも挑戦していきたいと思っています。

自分の作品はこれからもどんどん変わっていくと思いますし、進化していくと思っています。

新たなチャレンジにプレッシャーは付き物ですが、、表現することを生業にしているので、これからもどんどん挑戦していきたいと思っています。

ブログに戻る